日本クレジット協会の調査によると、法人カードの発行枚数は、調査を始めた2014年から年々右肩上がりに増えており、法人数よりも法人カードの伸び率の方が高いという統計結果が出ているそうです。背景としては、やはりキャッシュレス決済が主流となりつつあるという時代背景と、法人カードで決済できる加盟店が増えてきていることにあるようです。もしまだ法人カードを持っていないのであれば、「お得で便利」な決済方法をまだ知らないということですね。これから法人カードを持つ人のために、今回は、法人カードをもつことによるメリット・デメリットについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
法人向けカードのメリットとは
オフィスの備品から出張旅費まで、様々な金額が動く毎日。決済に不便を感じていませんか?何かの支払いをする度に、ちょっとお得だったり、楽になったらいいですよね。では実際に、法人向けのクレジットカードを持つことで、どんなメリットがあるのでしょうか。
法人カードのキャッシュバック率の高さ
JCB法人カードや楽天銀行デビットカードなど、購入額1%のキャッシュバックがあります。JCB法人カードでは、毎月のカード利用額が80万円以上の場合、キャッシュバックは最大2.5%にもなります。
経費管理の合理化
出張や接待等での支払いに限らず、日々オフィスで使う事務用品、毎月支払いのある携帯電話料金や保険料、サーバー料金等も法人カードで支払うことができます。法人カードで支払えば、自動で支払い明細もできてしまいます。様々な出費を一元化することで全体を把握することができるようになるので、余計な出費を抑えることもできます。また、現金払いであれば、決済の度に社員が立て替えた領収書を一枚一枚経理担当者が確認して日付順にデータ化するなど、金額の大小を問わず手間がかかりますが、法人カード決済であればこうした会計処理の手間を大幅に削減することができます。
キャッシュフローが改善
こまごました支払いが法人カードの利用により、一本化されますので、常に現金を用意しておく必要がなくなり、毎月決まったカードの支払い日まで余裕ができ、計画的に資金を運用することができます。出張費・交通費、広告費など、まとまった金額が継続的にある法人などにとっては、特に支払いサイトが長くなるということは大きなメリットです。もし、法人カードで100万円を決済したとしても、引き落としが翌月もしくは翌々月なので、手元にある現金100万円を他の事業や支払いに有効活用することもできます。現金払いにしたばかりに、ビジネスチャンスを逃した…なんてことも起こり得ますよね。そんなことにならないよう、賢く支払いしましょう。
ポイントやマイルが貯まる
個人カードではおなじみとなったポイントやマイルサービスは、もちろん法人カードでも有効です。貯まったポイントは日々のお支払いに利用できたり、マイルやギフト券、商品などに交換できてとてもお得。出張が多い企業であれば、マイルがすぐ貯まりますし、貯まったマイルを次の出張費に充てたり、座席のアップグレードも可能になります。個人カードよりも決済額が大きくなる分、ポイントやマイルもあっという間に貯まりますので、次の経費削減に大きな役割を果たしてくれます。
ビジネスサービス
個人のクレジットカードとは異なり、法人カードは、ビジネスに特化している分、さまざまなビジネスサービスが用意されています。特に充実している、アメリカン・エキスプレス・ゴールド・ビジネス・カードを例にすると、無料で受けられる経営コンサルティングサービスや、取引先などの信用情報調査やスクリーニング等のレポートサービス、帝国データバンクの企業情報も年会費無料で利用することができるので、様々なビジネスシーンでメリットを感じられると思います。
社員に保険が適用できる
法人カードには、旅行傷害保険や、ショッピング保険などが付帯しています。特に出張中の事故やケガなど、不測の事態にも法人カードを持つ従業員を補償をしてもらえるので、出張が多い企業なら必携と言えるでしょう。追加カード自体は年会費が割安なので、コストパフォーマンスも高く、法人カードならではのハイスペックな保険で従業員を守ることができます。
注意点
法人カードを持つことで受けられるメリットをいくつかご紹介しましたが、もちろんデメリットが無いわけではありません。ここでは、法人カードを作るもしくは、社員に追加カードを持たせるにあたって、注意すべき点についていくつか触れておきたいと思います。
高い年会費
法人カードとなれば、受けられるサービスや付帯保険のスペックがぐっと高くなる分、年会費もそれなりに高い金額になります。無料で作れるものも一部ありますが、法人カードを持つメリットを十分受けるためには無料のカードでは限界があったりもします。年会費が高ければ高いほど、サービスや保険の内容は充実しますが、本当にそのサービスが必要なのかどうか、事業規模や用途などを含めて検討してみてください。例えば、海外への出張など1度も無いのに、海外旅行保険が自動付帯で最高1億円あっても、意味があまりないですよね。どんなシーンにビジネスサポートが必要なのか、法人カードを作るタイミングだけでなく、更新前にも都度見直しが必要です。
不正利用
代表者が1枚持っているだけなら問題ありませんが、もし追加カードを社員に持たせて出張先で決済させるという場合、どこまでが経費で、法人カードで決済してよいものなのかどうか、事前の取り決めが必要です。また、事前承認無しにカードを切ってしまえばすぐ支払い完了になりますから、カード会社の請求が来て金額に驚くということが無いように、社内ルールをきちんと固めて管理体制を整えておく必要があると思います。決済や事後処理が楽な分、事前のルール整備や利用するスタッフの教育といった点では、しっかり時間をかけてリスクを回避したいところです。
ポイント還元率
法人カードでも、利用金額に応じてポイントやマイルが貯まりますが、個人カードに比べると還元率が低かったり、条件が厳しめのカードが多いです。ただ、現金で支払うと得られないものですから、少しお得になるという点と、経理業務の負担軽減をメインに考えると、大したデメリットとは言えないかもしれませんね。
まとめ
キャッシュレス決済の流れを受けて、法人カードの普及率はますます高くなっていくでしょう。そういった時代の流れに遅れないという点だけでなく、経費管理の負担軽減や、経費節減といった点で、法人カードは今やビジネスの必需品ともいえると思います。選ぶポイントとしては、年会費とサービスのバランスです。自社の事業規模や、用途などをよく見極めて法人カードを作るということだけでなく、更新のタイミングでも見直しをして、カードを切り替えるぐらいの気持ちで選ぶことが重要です。