知っているようで知らないクレジットカードの国際ブランドとは…

突然ですが、クレジットカードの国際ブランドって何のことかわかりますか?

国際ブランドとは、日本国内だけでなく世界中で利用できるクレジットカードブランドのことで、 カード券面の「VISA」「MasterCard」「JCB」といったロゴが国際ブランドを表しています。

世界中どこでも使えるというのはとても便利ですが、 その為には世界中の店舗やサービスに、その国際ブランドの決済ネットワークを張り巡らせる必要があり、 この決済ネットワークの多さが国際ブランドの強さでもあります。

このページでは、クレジットカードの国際ブランドについておさらいをしてみたいと思います。

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ブランドの種類

国際ブランドはアメリカが発行している5ブランドと、日本が発行しているものが1ブランドと中国が発行している1ブランドの合計7ブランドがあります。

日本発の国際ブランドといえば…ご存知の方も多いと思いますが、JCBカードです!

国際ブランドのほとんどがアメリカ企業である中、JCBは日本生まれの国際ブランドとして確固たる地位を築いており、世界中で決済を行うことができます。 知らない人は多いですが、日本の企業発の国際ブランドが世界の5本指に入ることは本当に凄いことなんです。

例えばロシアは、2014年3月に欧米による金融制裁が行われ、VISAとMasterCardがロシア銀行など大手7銀行との取引を停止しました。 全ての銀行取引を停止しているわけではないため、完全にVISAやMasterCardが使えなくなったわけではないようですが、国内経済は甚大な影響を受けたようです。

同じことが日本で起こったらどうなるでしょうか? 日本はJCBという国際ブランドがありますので、日本国内のJCB加盟店で決済する分には大して困りません。 JCBカードを持っていない人は新規で発行しなければならない為、混乱が無い訳ではないでしょうが、ロシアのような甚大な影響は考えられないのです。

このような国際ブランドの1つを日本の企業が運営しているというのは、頼もしい限りですね!

上で紹介したJCBを含め、各国際ブランドの種類と特徴を簡単に説明します。

VISA(ビザ)

VISAはアメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く会社で、その社名はValue Issuer Service Areaの頭文字を取ったものと言われています。 (Value International Service Associationという説もあります)

VISAの最大の特徴は、国際ブランドの圧倒的な認知度と、決済ネットワークの強さでしょう! 決済ネットワークの強みを活かし、2022年現在、「使える国と地域の多さ」と「同じ国に中での加盟店の多さ」で、全国際ブランド中ナンバーワンです。

また、クレジットカードの「国際決済業務」のシェアでも、全国際ブランドの中でVISAがトップとなっています。 簡単に言うと「世界で一番良く使われているカード」と言う事です。

この為、クレジットカード決済ができる店舗なら、何も考えずにVISAブランドのカードを出せば大抵の場合は決済が済んでいまいます。 VISAカードが使えるか、何の国際ブランドで決済しようか考える必要もありませんので、国際ブランドの選択に困った時はVISAを選択すればまず間違いありません!

但し、中国だけは事情が異なり、「VISAは使えないが銀聯(ユニオンペイ)なら決済できる」場合が多くあります。 この点については、銀聯(ユニオンペイ)の項で改めて説明します。

なお、VISAは「決済業務」だけを担当している為、クレジットカードを発行していません。 この為、「VISA発行のクレジットカード」つまりプロパーカードというものは存在しません。

MasterCard

MasterCardはVISAに次ぐ世界第2位のシェアを持つアメリカの会社です。

MasterCardはドイツの「EuroCard(ユーロカード)」との合併によりスタートしたため、ヨーロッパ圏に強い(逆に言うと、ヨーロッパ圏以外に弱い)国際ブランドと言われていましたが、 現在ではVISAの使用範囲とほとんど変わりません。

MasterCardの強みは、VISAに次ぐ国際ブランドの認知度と決済ネットワークの強さです。 この為、メインカードの国際ブランドはVISA、サブカードの国際ブランドはMasterCardといった選択をする方も多くいます。

海外利用時のレートの比較はMastercardが若干有利という点も地味なメリットの一つです。

VISAの為替レートはこちらのページ、 MasterCardはこちらのページで為替レートを計算することができますが、 2018年2月の時点でVisaは100ドル=10,729.927円、MasterCardは100ドル=10,705.24円と、0.2%ほどですがMasterCardが為替レートは若干有利になっていますので、ドルで決済する機会が多い方は、Mastercardを選択する方がメリットがあります。

なお、MasterCardもVISAカード同様、「決済業務」だけを担当している為、クレジットカードを発行していません。 この為、「MasterCard発行のクレジットカード」つまりプロパーカードというものは存在しません。

JCB

国際ブランドのJCBは1961年創立の株式会社日本クレジットビューロー(JCB)が発行しており、日本で唯一の国際ブランドであると同時に、 中国の銀聯カードが登場するまで、アメリカ系以外では唯一の国際ブランドでした。

JCBブランドの発行枚数自体はVISAと比較すると5%程度の規模ですが、日本発の国際ブランドという事もあり、日本国内の加盟店数はJCBが一位です。

JCBの最大の特徴は、日本国内での利便性の高さです。

前述の通り、日本国内の加盟店数はJCBがトップであり、日本国内での決済シーンにおいては『最も使える』と表現しても過言はありません。 空港宅配優待サービスや優待ガイドなどの各種付帯サービスもあり、普段の生活においても役に立つ一枚です。

また、海外では弱いJCBと言われていますが、一部は正解で一部は誤りです。

例えば日本人が良く訪れるハワイでは、トロリー乗り放題や、ワイキキのど真ん中にある「JCBプラザ ラウンジ・ホノルル」や「JCBプラザ・ホノルル」が利用できたりと、 他の国際ブランドにはないJCB限定の特典が多くあります。ハワイ以外の国でも、韓国や台湾はクレジットカードが使えるほとんどの店舗でJCBが使えますし、 アメリカ本土やグアム、中国、ベトナムあたりでもJCBカード一枚で困る事はそれほどありません。

しかし、JCBカードが使えない国々があるのもまた事実です。 特にヨーロッパではJCBブランドの認知度は弱く、使えないどころか「JCBって何?」と言われてしまうことも… この為、海外での利用を考えているなら、JCBブランドだけではなく、VISAまたはMasterCardブランドのカードも作っておくことをおすすめします!

JCBはVISAやMasterCardと違い、プロパーカード(国際ブランドが発行しているクレジットカード)を発行しています。 JCBプロパーカードの最上位のカードはブラックカードの『JCBザ・クラス』で、このカードを目指してJCBプロパーカードを所有するというのも楽しみのひとつですね。

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American Express(アメリカンエキスプレス)

1850年に運送業者としてスタートしたAmerican Expressは、通称「アメックス」と呼ばれ、ステータス性の高いブランドとして世界中で認知されており、主に富裕層に人気の国際ブランドです。

正直なところ、使い勝手についてはVISAやマスターカードには劣ってしまいますが、その分、アメックスならではのホテルやレストランなどの優待や空港ラウンジの利用など、 ステータスに見合った質の高いサービスやサポートを提供してくれるところが一番のメリットでしょう。

また、以前は一般カード(グリーンカード)でもゴールドカードと同じ位の取得難易度と言われていましたが、現在では審査基準も大分緩和されてきており、比較的作りやすいカードとなってきています。

American Expressは、年会費も他のカードに比べると高く、お得にポイントを貯めるといった目的には適していませんが、 頻繁に海外旅行や出張に行く人にとっては、手荷物無料宅配サービスや緊急時の素早いトラブル対応など十分な恩恵を受けられるといえます。

American ExpressはVISAやMasterCardと違い、プロパーカード(国際ブランドが発行しているクレジットカード)を発行しています。 また、日本国内では加盟店が多くない印象のAmerican Expressですが、加盟店の相互開放により、JCB加盟店の大半でAmerican Expressが使用できるため、日本国内での使い勝手としては悪くありません。

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Diners Club(ダイナースクラブ)

Diners Clubは、世界で最初に登場したクレジットカードです。American Expressと同様、富裕層をターゲットにしたプレミアム感の強い国際ブランドです。

以前は加盟店は高級店が中心で利用金額の限度が比較的高く、高額商品の支払いや出費が多い月などでもゆとりをもって利用できる事や、 審査基準も厳しかった為、医者や弁護士ではないと持てないカードとも言われていた時期もありましたが、現在は審査基準も大分緩和されきています。

Diners Clubの一番のメリットは、ステータスの高さと、グルメや旅行、エンタメシーンなどで利用できる優待サービスが充実している点でしょう。

「ダイナース」には「食事をする人」という意味があり、ニューヨークで「ツケで食事ができるクラブ」として誕生したのがダイナースクラブです。 こういったバックグラウンドがあるから、グルメ優待やレストラン特典に強いというのも頷けますね。 通常では予約を取りにくいような有名飲食店、紹介者なしでは予約を取りにくい高級料亭もダイナースクラブであれば利用できる事も。

Diners ClubはVISAやMasterCardと違い、プロパーカード(国際ブランドが発行しているクレジットカード)を発行しています。 日本国内では加盟店が多くない印象のDiners Clubですが、加盟店の相互開放により、JCB加盟店の大半でDiners Clubが使用できるため、日本国内での使い勝手としては悪くありません。

ディスカバーカード

ディスカバーカードはアメリカのディスカバー・フィナンシャル・サービスが展開しているクレジットカードでアメリカを中心に約5,000万人の会員を持っており、 加盟店は北アメリカ・中央アメリカ・東南アジアなどに広がっています。

但し、日本国内でディスカバーカードを発行しているクレジットカード会社が存在しない為、現時点では日本でディスカバーカードを作ることはできず、 日本国内での加盟店の数もそれほど多くありませんので、現時点では敢えてディスカバーカードブランドを選択する理由はありません。

ただ、JCBや銀聯カードとの提携により、国内外で利用できるシーンが増えていますので、今後注目の国際ブランドです。

銀聯(ユニオンペイ)

銀聯カードは、中国中央銀行主導で作られた国際ブランドで、ここ最近で急速に会員数を伸ばしているのが、銀聯(ユニオンペイ)ブランドです。 日本語での読み方が「ぎんれん」です。訪日中国人の増加に合わせて日本国内でも加盟店が増えています。

中国銀聯カードがこんなにも世界的に普及しているのは、中国の外貨持ち出し制限が大きく関与しています。 また、セキュリティ面でも他のクレジットカードと違い、通常のクレジットカードの場合は、暗証番号、もしくはサインでの決済ができてその際に利用する暗証番号は4桁で済みます。 しかし銀聯カードの場合は暗証番号が6桁となり、エキュリティ面の強化がされています。

また、中国のクレジットカード事情は少々特殊で、『VISAやMasterCardが使えなくても銀聯なら使える』というケースが結構ありますし、 銀聯の手数料は他の国際ブランドよりも安い為、『銀聯と他の国際ブランドが使える店でも、銀聯で支払うと喜ばれる』場合もあります。

このような事情から、中国に頻繁に行く人は、銀聯カードを一枚持っておくと何かと便利でしょう!

国際ブランドは何を選ぶべきか?

さて、7種類の国際ブランドとその長所、短所を簡単に説明しましたが、実際のところ、何を基準にどの国際ブランドを選ぶのが良いでしょうか?

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国内でしか使わないなら(実用性重視)

『国内での決済で使えればいい』そんな人は、迷わずJCBブランドです! 日本国内での加盟店数はナンバーワンというのもありますし、日本発の国際ブランドを応援するという意味でも、 是非一枚持っておきましょう!

国内利用だけであれば、JCB一枚でも全くもって困ることはありませんが、一枚では不安という人は、 サブカードとして年会費のかからないVISAかMasterCardを所有しておくとより安心できます。

国内でしか使わないなら(ステータス重視)

国内での決済で使えればいいけど、ステータスも重視したい!

そんな人は、American ExpressかDiners Clubがおすすめです。 どちらもJCBと加盟店の相互開放を行っていますので、国内利用であればほとんど困ることはありません。

但し、一部店舗では使えないというケースがあったり、店員がJCBとAmerican Express、Diners Clubの加盟店の相互開放を知らずに 『当店ではAmerican Expressは使用できません…』と言われることも。 実際は使える場合が大半ですが、説明するのが面倒な人は、VISAカードを一枚持っておけばより安心です!

海外でも使う(中国以外が中心)

海外での利用を想定しているなら、メインカードはVISA、サブカードはMasterCardがいいと思います。 行く場所によっては、VISAとMasterCardどちらかにしか対応していない場合もありますが、 どちらも使えないというケースはほぼありません。(クレジットカード自体使えない場合はありますが)

渡航先が中国や台湾中心なら、サブカードはJCBでも実用上問題はないと思います。

海外でも使う(中国が中心)

中国によく行かれる方は、メインカードとサブカードどちらかに銀聯は必須です。

もう一枚のカードの選択ですが、国内利用中心(つまり国内と中国でしかクレジットカード決済をしない)のなら、JCBカードが良いでしょう。 中国以外の国外でもクレジットカード決済を利用する可能性があるなら、VISAかMasterCardが無難です。